技術も実績もある。でも、オンラインでは見つけられなかった。
昭和51年創業、山口県防府市の自動車整備・販売会社。車検・修理・鈑金塗装に長年の実績を持ち、地域での信頼は厚かった。近年はカスタムカーの販売にも力を入れており、施工の質には定評があった。
しかしWebサイトは情報が古く、サービスの全体像が伝わりにくい状態だった。特にカスタム販売については、実績の写真すら十分に掲載されておらず、「どんな車に仕上げてもらえるのか」がオンラインでは全く見えなかった。カスタムに関心のある層は、SNSや検索で事例を探してから問い合わせる。その入口が存在していなかった。
SNSも開設してはいたが、更新が途切れがちで、発信の方向性も定まっていなかった。技術力という強みを、集客につなげる仕組みが何もない状態だった。
「来てもらえれば分かる」では、来てもらえない。オンラインで価値を見せる構造から、作り直す必要があった。
サイトとSNSを、カスタム販売の入口として設計し直す。
BXはまず、カスタムカーを検討する顧客がどのように情報収集するかを整理した。彼らはSNSで施工事例を見て興味を持ち、アカウントをフォローしながら信頼を積み重ね、「この店なら任せられる」と確信できたタイミングで問い合わせる。衝動的ではなく、時間をかけた意思決定をするという特性があった。
現状のサイトとSNSは、この動線のどこにも対応できていなかった。サイトはサービスの羅列にとどまり、SNSは発信が途切れ、施工事例も整理されていなかった。まず「見せる場所」を整備することが最優先だという結論に至った。
サイトのリニューアルでは、カスタム販売を前面に出したページ構成に変更し、施工事例を中心に据えた設計にすることにした。SNSは投稿の型を決め、継続できる運用体制を整えることを優先した。
サイトを刷新し、SNSを継続できる仕組みにする。
Webサイトをリニューアルし、トップにカスタム販売の施工事例を配置した。ビフォーアフターの写真を中心に、「どんな状態の車を、どう仕上げるか」が一目で伝わるページ構成にした。問い合わせへの導線もシンプルに整理し、気軽に相談できる入口を設けた。
SNSは投稿の型を3種類に整理した。施工事例・技術解説・スタッフの日常という3パターンを週に3回のペースで回す運用設計にし、スタッフが迷わず投稿できるフォーマットを用意した。投稿ごとの反応を定期的に確認しながら、何が届いているかを少しずつ改善していく体制を整えた。ABテストも一部で取り入れ、施工写真の見せ方が反応にどう影響するかを検証した。
サイトとSNSをつなぐ導線も整備した。SNSから流入したユーザーがサイトに来たとき、施工事例と問い合わせフォームにスムーズにたどり着けるよう設計した。
実装期間:約3か月。スタッフの日常業務の中で回せる運用設計を前提に、継続できる仕組みを優先した。
「カスタムカーを見て来ました」という問い合わせが増えた。
サイトリニューアルから2か月後、カスタム販売への問い合わせが増加に転じた。特に「Instagramで見て来ました」「カスタムカーを見て問い合わせしました」という声が届くようになり、オンラインが入口として機能し始めた実感が生まれた。
SNSのフォロワーも徐々に増加し、施工事例の投稿が保存される頻度が上がった。「いつか頼みたい」という層が蓄積されていく感覚が、スタッフにも伝わるようになった。発信を続けることへのモチベーションが上がり、更新が途切れなくなった。
社長からは「以前はWebもSNSも存在しているだけだったが、今は仕事につながっている」という言葉があった。オンラインが「あればいいもの」から「集客の入口」に変わったことが、最も大きな変化だった。